『selector infected WIXOSS』は販促アニメの革命となったのか

「selector spread WIXOSS」 BD-BOX<初回仕様版> [Blu-ray]
アニメ『WIXOSS(ウィクロス)』シリーズは、タカラトミーの同名トレーディングカードゲーム(TCG)の販促として制作されているシリーズ。その第一作が『selector infected WIXOSS』です。

あらかじめ言っておくと、ぼくはTCGについてはほぼ知識がなく、子供の頃に流行ったカードといえばビックリマンとか仮面ライダーなど、お菓子のおまけを集めていた世代で、最近のものについてはかなり疎い。いろいろ間違っていたらごめんなさい。

ただ、普段TCGにあまり触れていないぼくから見て、このWIXOSSというアニメがどのようなインパクトだったかということをお伝えしたい。

TCGアニメにおけるテンプレ化を変えた作品

主なトレーディングカードゲーム

海外では世界大会も開かれる本格派のマジック・ザ・ギャザリングなどが有名ですが、日本では遊戯王の大ヒット以降、デュエルマスターズやヴァンガードなど比較的子供向けの展開を中心としている市場(あくまでぼくの感想です)。

ヴァイスシュバルツやchaosTCGなど、他作品とのコラボが中心となった若者向けもあるにはありますが、やはり多数の作品が集まって形成されていると、あまりオリジナル感がありません。お気に入りアニメのコレクションアイテムとしての側面も強いでしょう。

WIXOSSの場合は遊戯王のように、他作品とのコラボではなくオリジナルのカード主流で展開しているゲームです。この手のオリジナル作品において、いままでの販促アニメは低年齢層をターゲットとして制作されており、放送時間も朝や夕方のキッズ向け作品と同時間帯でがほとんどでした。

このWIXOSS以外の類似作品を単純に見逃していただけなのかもしれませんが、しかし深夜アニメ枠でこれほど販促の側面を見せずに、ストーリーで勝負してきたTCG関連のアニメ作品をぼくは知りません。

そもそもぼくは最初TCG販促アニメだと知らずにこのアニメを視聴していたほど。タイトルの「infected (感染)」はゾンビゲームなどでよく見かけていた単語なので、ホラーテイストなのかな、くらいの心づもりで見始めました。

selector infected WIXOSS

ストーリーは、女の子の間で大人気のカードゲームであるWIXOSSに不思議な力をもったカードが存在するといった噂から始まります。その特殊なカードを手にした少女たちが辿る数奇な運命を描いた物語ですが、一応冒頭からカードゲーム(バトル)をすることはするのです。

しかし、このバトルをみたぼくはCCさくらやファンタジスタドールのように、単純にカードに不思議な力がある世界観という印象しか受けませんでした。

大きな原因として、よくあるTCGアニメらしい「カードバトル大会」で上位を目指すみたいな導入ではなかったのと、バトルルールについての説明がほとんど描写されていないということが挙げられます。

いちおうカードバトルがターン制であることはわかるのですが、それ以外になぜスキルが発動するのかとかダメージの計算がどうなっているのかとかは、よくわからない内容でした。

つまり、ゲームとしての魅力を伝えるということはアニメ作中においてほとんどしていないのです。あるとすればカードに絵描かれたリルグと呼ばれる女の子たちが可愛いなーってことぐらい。これが販促アニメの印象を受けなかったいちばんの理由ですね。

しかも、そのバトルに何度も負けると女の子たちに不幸が起きてしまうという不穏な展開で、ずるずると不安を煽るようなダークなお話が続いていきます。カードバトルをする主人公たちが不幸になるかもしれないって、実際カードゲームとしてプレイするうえでイメージ悪いんじゃないかなあとさえ感じました。

結果としてこのアニメは、可愛い女の子がダークな世界観に翻弄されるというアンマッチさで勝負する、完全に深夜アニメ視聴層をターゲットとした内容でストーリーが進んでいき、純粋なアニメ作品としての評価で話題を呼ぶということが狙いだったのではないかとおもいます。

最終話までみたぼくの感想としては、作品としてはすごくおもしろかったのですが、それがカードの売れ行きに繋がるかは正直微妙だと感じました(さすがにその頃には販促アニメだと知ってました)。

しかし、実際にカードが販売されると品薄状態がしばらく続くような盛況ぶりだったようです。ぼくのようにアニメだけを楽しんでカードには手を出さなかった視聴者もいるでしょうが、いままで子供向けの印象が強かったオリジナルのTCGを、従来より高い年齢層にまで認知させ広げていくということと、ぼくがこの記事を書いたように、実際プレイまで至らなくてもある程度の興味を持たせるという効果において、この試みは大成功だったのではないかとおもいます。

作品は続編のselector spread WIXOSS、劇場版のselector destructed WIXOSS。そして登場キャラを入れ替えた新シリーズLostorage conflated WIXOSSとしてタイトルが続いているのも、人気があることがうかがえます。

そして作品の人気が続いているということは、当然オリジナルキャラも人気ということでしょうから、他社のゲストキャラで構成されているカードゲームより販売元としても嬉しいのではないでしょうか。

純粋に作品やキャラの人気を高める内容でも、TCG販促アニメとしてじゅうぶん成り立ったというぼくの感想ですが、あらためて考えるとゲームの楽しさを伝える工程を作中から排除し、且つ深夜枠という新規開拓を狙ったWIXOSSシリーズは挑戦的な試みだったとおもいます。

そしてその第一作を成功せさるということは、かなりハードルの高い作業だったのではないでしょうか。お見事な作品でした。

WIXOSS-ウィクロス-|タカラトミー
劇場版『selector(セレクター) destructed WIXOSS』公式サイト
TVアニメ『Lostorage incited WIXOSS』公式サイト

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